3月鉱工業生産

生産は持ち直し基調

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2013年04月30日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2013年3月の生産指数は、前月比+0.2%となり、市場コンセンサス(同+0.4%)をわずかに下回ったものの、4ヶ月連続の上昇となった。3ヶ月移動平均で見ても4ヶ月連続の増加となっており、生産は持ち直し基調が続いている。出荷指数は前月比+0.3%と2ヶ月連続で上昇し、在庫指数が同▲0.2%と低下したことから、在庫率指数は同▲1.2%と6ヶ月連続の低下(改善)となった。


◆3月の生産を業種別に見ると、化学工業が、先月時点の計画を上回る上昇となったことが生産を押し上げた。また、低下傾向が続いていた電子部品・デバイス工業が、スマートフォン関連部材の増加により上昇に転じたこと、先月時点では生産の大幅な低下を見込んでいた情報通信機械工業が、計画に反して上昇したことが生産の押し上げに寄与した。一方、生産が低下した業種に関して見ると、輸送機械工業の低下による寄与が大きかったが、減産自体は先月時点で見込まれており、概ね想定内の内容であった。


◆製造工業生産予測調査によると、2013年4月の生産計画は前月比+0.8%、5月は同▲0.3%となっており、生産は振れを伴いながらも緩やかな増加基調が続くと見込んでいる。生産が今後安定的に増加するかどうかは、輸出数量の増加がカギとなる。輸出数量にもこのところ下げ止まりの兆しがみられているが、海外経済の回復や、円安による価格競争力の改善といった外部環境の改善に鑑みると、今後は増加に向かう公算が大きい。輸出の増加に牽引される形で、生産は緩やかな増加傾向が続く見通しである。

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