サマリー
◆2013年3月の全国CPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は、前年比▲0.5%と、下落幅が前月(同▲0.3%)から拡大し、市場コンセンサス(同▲0.4%)からわずかに下振れした。下落幅拡大の主な要因は、エネルギーのプラス寄与が縮小したことだが、これは前年の裏が出る形で、灯油、ガソリンの押し上げ寄与が縮小したため。
◆一方、他の財・サービスに関してみると、耐久財、半耐久財では下落幅が先月から縮小した。その結果、市況要因を除いた物価動向を表す「食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合、以下コアコアCPI」は前年比▲0.8%と、下落幅が2月(同▲0.9%)から縮小している。ただし、コアコアCPIは依然マイナス圏での推移が続いており、緩やかなデフレ傾向が続いている状況に大きな変化はない。
◆全国コアCPIの先行きについては、2013年6月に前年比上昇に転じた後、プラス圏での推移が続く見通しである。4月以降は自動車保険の値上げが押し上げに作用する見込みであることに加え、5月以降は電力料金の値上げがコアCPIを押し上げる見込みである。また、円安による輸入価格の上昇によって、エネルギーによるCPIの押し上げが今後も続く見込みであるが、前年の価格変動の影響もあり、価格が足下水準から横ばいで推移したとしてもエネルギーの前年比寄与度は7月までは拡大することとなる。エネルギー以外の物価に関しても、円安による粗原材料価格の上昇が物価上昇圧力となるなか、GDPギャップの改善に伴って基調的に下落幅を縮小していく公算である。ただし、コアCPIの上昇は前年比+1%を下回る緩やかなものとなる見込みであり、日銀が目標とする前年比+2%の物価上昇の達成は困難な状況が続くとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
-
日本財政の論点 – PB赤字と政府債務対GDP比低下両立の持続性
インフレ状態への移行に伴う一時的な両立であり、その持続性は低い
2025年10月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日