サマリー
◆1月の企業関連の指標は、これまでの減速傾向からの転換を期待させる内容であった。鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比+0.3%と2ヶ月連続の上昇となった。先行きに関しても増産を見込んでいることから、生産は持ち直しつつあるといえる。輸出金額は前年比+6.3%と、8ヶ月ぶりの増加に転じた。機械受注(船舶・電力を除く民需)(季節調整値)は、前月比▲13.1%と、4ヶ月ぶりのマイナスとなった。しかし、業種別に内訳を見ると、増加している業種も多くみられることから、一時的な落ち込みであると言えよう。企業関連の指標の先行きは、外部環境の改善に支えられて、持ち直しの動きが徐々に強まるとみている。
◆1月の家計関連の指標は、雇用・消費の改善基調を裏付ける内容であった。完全失業率(季節調整値)は、4.2%となり、前月から0.1%pt 改善した。有効求人倍率(季節調整値)は0.85倍となり前月から0.02pt改善した。新規求人数、有効求人数が増加基調にあることから、企業の採用意欲が高まっていることが示唆される。実質消費支出は前年比+2.4%と2ヶ月ぶりのプラスとなった。季節調整値で見ると前月比+1.9%と2ヶ月ぶりの増加、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ても、同+1.8%と2ヶ月連続の増加となった。生産と企業収益の回復で、所得・雇用環境は改善に向かい、消費に関しても堅調な推移が続くと見込んでいる。
◆今後発表される統計では、4月1日に発表される3月の日銀短観に注目している。前回調査以降、ドル円レートは、10円以上円安方向に振れている。この動きは多くの業種で収益や事業環境の改善につながるため、業況判断DIは幅広い改善が見込まれる。また、新たに示される2013年度の設備投資計画や、企業の想定為替レート、国内外の財・サービス需給判断など、注目点は多岐にわたる。アベノミクスの流れを受けて、企業の経営計画が変化した点、変化していない点を判断するための、多くの材料を提供してくれるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
2025年9月貿易統計
トランプ関税の悪影響続くも、円安効果で輸出金額は5カ月ぶり増加
2025年10月22日
-
2025年8月機械受注
非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正
2025年10月16日
最新のレポート・コラム
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日
-
健康経営の新たな戦略基盤
従業員多様化時代のウェルビーイングプラットフォームの可能性
2025年10月24日
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
バブル期と比較しても、やはり若者が貧しくなってはいない
~未婚若年層の実質可処分所得・1980年からの超長期比較版
2025年10月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

