サマリー
◆2012年11月の全国CPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比▲0.1%と、2ヶ月ぶりの下落となり、市場コンセンサス(同▲0.1%)に沿った結果となった。内訳を見ると、「電気代」、「灯油」、「ガソリン」の上昇幅が縮小したことにより、エネルギーの押し上げ寄与が10月から縮小したことが、コアCPIを押し下げた。
◆市況要因を除いた物価動向を表す「食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合」は前年比▲0.5%と、下落幅は10月と同様だったが、季節調整値で見ると、前月比▲0.2%と4ヶ月連続で下落しており、物価は緩やかなデフレ傾向が続いている。
◆先行きに関しては、これまでコアCPIを押し上げてきたエネルギーは、原油価格が足下の水準で推移すると仮定すると、前年の裏が出る形で前年比ベースでの押し上げ寄与は徐々に減衰していく見込みである。また、このところの景気悪化により需給ギャップの縮小は足踏みとなっており、需給要因による物価上昇圧力は弱い状況にあることに加えて、2013年2月以降は「テレビ」のマイナス寄与が急拡大するという特殊要因もあることから、コアCPIは当面前年割れでの推移が続くとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日