サマリー
◆日本銀行が2012年2月14日に事実上のインフレ目標である「中長期的な物価安定の目途」を設定した影響で、物価動向に対する関心が一段と高まっている。他方、日本銀行の物価見通しに対する批判的な意見が多い。本稿では、物価関数の推計によって、予測の前提条件などの情報を示した上で、日本の最近の消費者物価指数の動向と今後の見通しについて考察したいと考えている。加えて、予測の前提条件の置き方によって、物価見通しが大きく変わることを検証したい。
◆今回の推計した物価関数を基に、予測の前提条件を変更させて、インフレ率がどの程度変化するか検討した。デフレケースをみると、2012年度が前年度比▲0.1%、2013年度が同▲0.3%となり、デフレからの脱却が遠のくという結果が確認できる。一方、インフレケースでは、2012年度は前年度比+0.3%と小幅なプラス幅に留まるが、2013年度は同+0.9%と日本銀行のインフレ目途である「+1%」に接近する。
◆物価関数に関する考察で得られた結論は以下の3点である。第1に、足下の物価動向においてはGDPギャップの改善がプラスに寄与している一方で、企業物価が押し下げ要因になっている。第2に、基本ケースでは、コアCPIの先行きは、しばらく横ばいが続いてから徐々に上昇するものの、今後2年程度では日本銀行のインフレ目途である「+1%」には届かず、日本銀行の物価見通しと比べても低い結果になった。第3に、予測の前提条件を変更すると、物価見通しが大きく変わることを確認できた。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年3月雇用統計
失業率は2.7%と2カ月ぶりに上昇
2026年04月28日
-
2026年3月全国消費者物価
中東情勢を背景にガソリン等の価格が上昇しコアCPI上昇率は拡大
2026年04月24日
-
フィジカルAIの社会実装に向けた課題
安全・品質・責任分界といった非技術的な点がボトルネックに
2026年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

