サマリー
◆本稿では人口動態の変化が消費に与える影響について、年齢や生まれた年代(世代)といった属性を踏まえた分析を行った。
◆年齢属性から当面予想される動きを見てみると、超高齢社会では「教育費」「交通費」「住居(賃料)」そして「被服及び履物(特に洋服や履物類)」といった消費が減少しやすい。
◆一方、超高齢社会で増えやすい消費には、「保健医療」以外にも、「その他の消費支出(交際費や民間の医療保険料等)」「光熱・水道」「住居(設備修繕・維持)」「家具・家事用品(家庭用耐久財、家事用消耗品等)」「教養娯楽」といった項目が挙げられる。
◆さらに世代属性も踏まえて中期的な消費動向を予想すると、食料のうち「生鮮食品(いわゆる内食)」や「外食」は今後の減少が予想される。一方、「調理食品(いわゆる中食)」「電気代」「通信費」「油脂・調味料」「教養娯楽サービス(特にパック旅行)」等の消費は、世代効果から押し上げられる可能性が高い。
◆こうした年齢や世代の影響に注目すると、超高齢社会の消費は「在宅・余暇」「メンテナンス」「安心・安全」がキーワードになる。
◆超高齢化は現役世帯に過度な負担をもたらすことを通じて、間接的に現役世代の消費構造や労働供給にも影響を与える可能性がある。成長戦略上、今後は多様な人材や労働者の再教育が必要なため、家事労働など家計の制約を解放する財・サービスの提供が求められる。
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