サマリー
◆総務省「家計調査」から得られたコーホート=データと国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」を用いて、今後10年間の消費市場の展望を描いた。
◆今後10年間で消費総額に占める割合が高まるのは、調理食品、油脂・調味料、飲料(以上、食料)、設備修繕・維持(住居)、電気代(光熱水道)、家庭用耐久財、家事用消耗品、家事サービス(以上、家具・家事製品)、健康保持用摂取品、保健医療用品・器具(以上、保健医療)、通信(交通通信)などである。
◆一方、消費総額に占める割合が低下するのは、魚介類、乳卵類、野菜・海藻、果物(以上、食料)、灯油等(光熱水道)、書籍・他の印刷物(教養娯楽)、こづかい、交際費(以上、その他の消費支出)などである。被服履物や教育も緩やかに低下していく。
◆本推計は超少子高齢化という人口動態の影響を強く反映している。しかしながら、例えばマクロの所得改善や技術革新による相対価格の変化があれば、市場の縮小が懸念される分野でも、将来、消費が拡大する可能性もある。また、訪日外国人によるインバウンド消費が拡大すれば、人口動態の変化によるマイナスの影響を打ち消し、国内の消費市場が拡大していく場合もあるだろう。
◆実質所得はようやくプラスになり始めたものの、まだその勢いは弱い。本格的な上昇軌道に乗せるには、将来の所得上昇を期待させる様々な政策を進めるべきだ。社会保障財政の改善やイノベーションを加速させる成長戦略は、消費市場にもプラスとなるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

