サマリー
◆7-9月期に入ってユーロ圏の景況感は明るさを増している。とりわけ足元では、これまで改善が遅れていた景気の現状認識が改善基調を強めており、景気回復の実感が強まっている点は前向きな動きである。
◆ユーロ圏経済における先行きのリスクは、引き続きエネルギー価格上昇による高インフレである。インフレリスクへの対応としてECBは9月の理事会で2会合ぶりの利上げを実施した。また、9月の経済見通しではインフレ率の予想が上方修正されており、さらなる利上げの可能性を示唆する内容であったといえる。
◆ただし、足元の原油価格はECBの見通しの前提を大きく上回っており、インフレ率の上振れリスク、および景気の下振れリスクは高まっている。9月理事会では、4-6月期の原油価格の下振れを一因とした、想定以上の景気の底堅さが利上げを後押しした面があった。一方、今後は原油価格の上振れによる景気減速が、追加利上げを躊躇させる要因になり得る。
◆ユーロ圏の別のリスクとして、長期金利のさらなる上昇には注意が必要である。金利上昇のきっかけは必ずしもユーロ圏独自の要因ではないものの、金利上昇によってユーロ圏でも財政への注目度が一層高まった。とりわけ、財政状況が悪く、2027年4月に大統領選挙を控え政治混乱のリスクが大きいフランスでは、長期金利の上昇圧力が強い状況が今後も続くと見込まれる。
◆長期金利が上昇したことで、英国では10月28日に秋季予算の公表を控えるバーナム政権の財政運営の困難さが増している。公約実現と財政規律の両立のためには、増税、もしくは歳出削減による財源の確保が必要となる。政策への期待感は家計や企業のマインド改善の一因になっているとみられ、秋季予算が国民にとって期待外れのものとなれば、マインドの悪化によって景気にも悪影響を及ぼす可能性がある。
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