サマリー
◆ECBは2026年6月10・11日に開催された理事会で、0.25%ptの利上げを実施した。ラガルド総裁は理事会後の会見で、エネルギー価格の上昇が当初想定していたものよりも長引き、そのインフレ率への波及が直接的・間接的に明らかになっていることを利上げの理由として挙げた。
◆だが、ECBが6月の理事会で利上げを実施した直後、状況は大きく変わった。6月14日に米国トランプ大統領がイランとの停戦合意を自身のSNSで発表したことで、90ドル/bbl台にあった原油価格(北海ブレント)は80ドル/bbl近辺まで下落した。
◆ECBは6月の経済見通しにおいて、標準シナリオよりもポジティブな前提をおいた穏当シナリオ(Milder scenario)を提示したが、現在の原油価格は既に穏当シナリオの前提を大きく下回る。インフレ率の上振れリスクは低下しており、当面、追加利上げが実施される可能性は低い。
◆米国とイランの停戦合意による原油価格の下落、ECBによる追加利上げの可能性が低下したことで、ユーロ圏経済の下振れリスクは低下した。こうした動きを前向きに評価する姿勢は、既に6月分のデータが公表された金融市場参加者、家計のマインド統計で確認され始めている。
◆英国では、2026年5月に実施された地方議会選挙での大敗以降、党内から強い辞任圧力を受けていたキア・スターマー首相は6月22日に辞任を表明した。アンディ・バーナム前グレーター・マンチェスター市長が党首選挙に立候補しており、後任候補として有力視される。
◆バーナム氏は、スターマー政権の財政規律を引き継ぐとの意向を示しているが、その一方で学生ローンの負担緩和や国防費拡大など、歳出増加圧力となる施策を掲げる。財政状況が厳しい中、財政規律と政策実現の両立をいかに図っていくかが今後の注目点となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 足元堅調もリスクは下向き
長引くインフレリスクと強まる金利上昇圧力
2026年09月17日
-
欧州経済見通し 引き続きインフレに警戒
猛暑で高まるインフレ上振れリスク
2026年08月25日
-
4-6月期ユーロ圏GDP 原油高でも底堅く成長
実質GDP成長率は前期比+0.4%と市場予想から上振れ
2026年07月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

