欧州経済見通し 進む資源高対応

財政支援と企業による価格転嫁

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2026年04月21日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆欧州委員会が公表した2026年3月のユーロ圏の景況感指数は、前月差▲1.6ptと2ヵ月連続で低下し、水準は96.6ptと2025年9月以来の低さまで落ち込んだ。悪化の最大の要因は消費者信頼感指数が同▲4.0ptと大きく低下したことである。家計の物価見通しは3月に急上昇しており、イラン戦争の勃発とそれに伴うエネルギー価格の急騰が消費者マインドを押し下げた。

◆原油価格の急騰が家計の負担となる中、欧州各国政府は財政による対策を打ち出している。スペイン、イタリアでは3月からエネルギーにかかる税金が引き下げられており、4月13日にはドイツでも減税が決定された。こうした財政措置により、消費者マインドの悪化ペースがさらに加速するリスクは和らいだ。

◆一方、企業部門では3月のマインドの悪化は限定的であった。特に製造業では、販売価格の見通しが大幅に上昇し、コストの増加分を販売価格へと転嫁する意向のため、原油価格等の上昇が景況感に大きく影響していないとみられる。

◆英国の2026年2月の月次GDPは前月比+0.5%となり、市場予想(Bloomberg調査:同+0.1%)を大きく上回った。増加幅は2024年1月以来の大きさであり、想定外に英国経済の底堅さを示す結果であったといえる。

◆3月のPMIや消費者信頼感指数は、前月から低下しており、3月の英国経済は2月に比べて減速傾向が強まる見込みが大きい。一方、4-6月期は2025年の秋季予算に盛り込まれたエネルギー価格の引き下げが、家計を下支えすると見込まれる。3月以降の原油・ガス価格の上昇がエネルギー価格に反映されるのは7-9月期以降であり、年後半には個人消費が失速するリスクが高まるとみられる。

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