サマリー
◆欧州委員会が公表した2026年3月のユーロ圏の景況感指数は、前月差▲1.6ptと2ヵ月連続で低下し、水準は96.6ptと2025年9月以来の低さまで落ち込んだ。悪化の最大の要因は消費者信頼感指数が同▲4.0ptと大きく低下したことである。家計の物価見通しは3月に急上昇しており、イラン戦争の勃発とそれに伴うエネルギー価格の急騰が消費者マインドを押し下げた。
◆原油価格の急騰が家計の負担となる中、欧州各国政府は財政による対策を打ち出している。スペイン、イタリアでは3月からエネルギーにかかる税金が引き下げられており、4月13日にはドイツでも減税が決定された。こうした財政措置により、消費者マインドの悪化ペースがさらに加速するリスクは和らいだ。
◆一方、企業部門では3月のマインドの悪化は限定的であった。特に製造業では、販売価格の見通しが大幅に上昇し、コストの増加分を販売価格へと転嫁する意向のため、原油価格等の上昇が景況感に大きく影響していないとみられる。
◆英国の2026年2月の月次GDPは前月比+0.5%となり、市場予想(Bloomberg調査:同+0.1%)を大きく上回った。増加幅は2024年1月以来の大きさであり、想定外に英国経済の底堅さを示す結果であったといえる。
◆3月のPMIや消費者信頼感指数は、前月から低下しており、3月の英国経済は2月に比べて減速傾向が強まる見込みが大きい。一方、4-6月期は2025年の秋季予算に盛り込まれたエネルギー価格の引き下げが、家計を下支えすると見込まれる。3月以降の原油・ガス価格の上昇がエネルギー価格に反映されるのは7-9月期以降であり、年後半には個人消費が失速するリスクが高まるとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 中東情勢が下振れリスクに
エネルギー価格上昇の影響は既に顕在化、金融政策はタカ派シフト
2026年03月24日
-
欧州経済見通し 財政拡張の効果が拡大
ドイツ製造業受注が急増し、製造業の景況感も改善
2026年02月24日
-
10-12月期ユーロ圏GDP 内需主導で成長加速
主要国が揃ってプラス成長、市場予想から上振れ
2026年02月02日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

