サマリー
◆2026年2月28日、米国とイスラエルによるイラン攻撃以降、欧州経済を取り巻く状況は一変した。商品市況の急騰を受け、ユーロ圏のガソリン価格は既に大幅に上昇しており、消費者物価は3月以降、上昇ペースが加速する公算が大きい。インフレ加速による実質所得の目減りは個人消費の下押しに作用すると見込まれる。
◆また、中東での地政学リスクの高まりは、企業・家計のマインド経由でも景気を下押しすると見込まれる。ユーロ圏の景況感は2026年2月までは堅調に推移していたものの、これが3月以降、大きく落ち込む可能性には注意が必要である。
◆欧州諸国の多くはエネルギーを輸入に依存しているものの、中東諸国に対する依存度は必ずしも高くない。このため2022年のロシアのウクライナ侵攻後と比べれば、欧州でエネルギー不足への懸念が高まる可能性は低いとみられる。
◆エネルギー価格の急騰を受け、ECBは3月の理事会でインフレ率の見通しを大幅に引き上げ、インフレ率の上振れリスクに対する警戒感を強めた。しかし、ECBは現時点では不確実性に対処するのに「良い態勢にある」との見方を示し、早期の利上げ実施の可能性には言及しなかった。
◆一方、BOEの3月の金融政策委員会は、想定以上にタカ派的な内容となった。声明文からは、「政策金利はさらに引き下げられる可能性が高い」という文言が削除され、「必要に応じて行動する用意がある」と、利上げに転じる準備があることが明記された。ただし、ベイリー総裁は会合後のインタビューで、金融市場での急速な利上げの織り込みをけん制した。先行きに関しては、極めて不確実性が高く、政策の自由度を確保しておきたいという事情はBOEもECBと同様とみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 足元堅調もリスクは下向き
長引くインフレリスクと強まる金利上昇圧力
2026年09月17日
-
欧州経済見通し 引き続きインフレに警戒
猛暑で高まるインフレ上振れリスク
2026年08月25日
-
4-6月期ユーロ圏GDP 原油高でも底堅く成長
実質GDP成長率は前期比+0.4%と市場予想から上振れ
2026年07月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

