サマリー
◆2026年のユーロ圏の実質GDP成長率は前年比+1.2%と予想する。暦年の成長率は2025年から低下するが、四半期ごとの成長率(前期比)は、2025年4-6月期を底にして緩やかに上昇し、景気回復のペースは再加速していく見通しである。
◆2025年7月に米国とEUの間で通商合意が成立し、追加関税に15%という上限が設定されたことで、先行きを巡る不確実性は大きく低下した。不確実性の低下に伴う企業や家計のマインド改善の動きは既に見られており、これが2026年には設備投資や個人消費などの実体面の改善へと繋がると見込まれる。
◆また、2026年はドイツを中心に財政拡張の効果が本格的に発現し始めるとみられる。財政支出が本格的に動き始めれば、公的支出による直接的な景気の押し上げのみならず、民間部門への波及効果も期待される。
◆先行きのリスクとしては、外需の動向が挙げられる。先行きの不透明感が低下したとはいえ、米国の追加関税の影響には引き続き注意が必要であることに加え、米国との通商合意がトランプ政権によって翻されるリスクも排除しきれない。また、中国向け輸出のさらなる減少や、中国からの輸入の増加など、対中貿易の動向も製造業の回復を阻害する可能性がある。
◆英国では、2025年11月に公表された秋季予算で、想定通り財政規律維持に向けた増税が発表された。財政再建の目途が立ち、追加増税への懸念が後退したことは、企業や家計マインドの改善を後押しするとみられる。BOEによる利下げも下支え要因となり、英国経済の成長ペースも徐々に持ち直しへ向かうと予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
-
欧州経済見通し 進む資源高対応
財政支援と企業による価格転嫁
2026年04月21日
-
欧州経済見通し 中東情勢が下振れリスクに
エネルギー価格上昇の影響は既に顕在化、金融政策はタカ派シフト
2026年03月24日
最新のレポート・コラム
-
2026年4月貿易統計
中東情勢の影響が数量・価格両面で本格化も収支黒字が継続
2026年05月21日
-
2026年3月機械受注
船電除く民需は前月の反動で減少したが、複数の大型案件が下支え
2026年05月21日
-
中国版「就職氷河期」への懸念
中国若年層の高失業率問題の構造要因、解決の決定打はない
2026年05月21日
-
資源制約、経済安全保障の観点から重要性高まるサーキュラーエコノミー
ビジネスのためのグローバル循環プロトコルが示す段階的対応
2026年05月21日
-
今話題のClaude Mythos騒動をまとめる ~マインドチェンジとスピードアップは必要だが、本質的な対策は今までと同じ~
特集記事「AIによるサイバー攻撃と防御」シリーズ
2026年05月21日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

