サマリー
◆2025年9月11日のECB理事会では、金融市場で事前に想定されていた通り、2会合連続で政策金利(預金ファシリティ金利)が2%で据え置かれた。また、ラガルドECB総裁は会見の質疑応答の冒頭で、「ディスインフレーションのプロセスは終了した」と述べ、利下げサイクルの終了が示唆された。
◆このところフランスの政治混乱・財政悪化に起因した金利上昇が注目されているが、これに対しラガルド総裁は、TPI(伝達保護措置)発動の必要はないとの見方を示した。現時点では、国債金利の上昇が金融システム全体に大きく影響を及ぼす可能性は低いという判断が示されたことになる。
◆もっとも、フランスの政治混乱は収まる気配が見られず、長期金利にはさらなる上昇圧力が掛かる可能性がある。金利上昇が他国に波及するリスクや、財政支出の拡大機運に水を差すリスクには引き続き注意を払っていく必要がある。
◆英国経済は足元まで緩やかな拡大傾向が続いているものの、労働市場の悪化が続いていることに加え、11月に発表される秋季予算での増税への懸念から、先行きは下振れリスクが大きい。与党労働党は所得税、付加価値税、国民保険料の雇用者負担分を引き上げないことを公約としており、選択肢が限られる中で、どこに財源を求めるかが注目点となる。
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