サマリー
◆6月30日、7月7日に行われたフランス国民議会の総選挙では、極右・国民連合が議会第一党になるとの事前予想に反して、左派連合・新人民戦線が最多議席を獲得する結果となった。右派ポピュリズム的な政策の実施や、放漫財政の可能性が低下し、フランス国債の暴落が危機へと繋がるシナリオは回避されたといえる。
◆もっとも、イデオロギーの異なる3会派が議会を3分したことで、今後の政策運営は困難を極めるとみられる。大統領による議会解散、総選挙は1年に1度と定められており、今後1年間は再選挙を実施することができない。フランス議会の不安定な状況は少なくとも1年間は続く可能性が高い。
◆7月4日に実施された英国議会選挙では、労働党が定数650議席中、411議席を獲得し、単独で過半数を確保する圧勝となった。長期政権下で国民の失望を買ってきた保守党からの政権交代が実現したこと、しかも労働党が単独で過半数を獲得し政権の安定が見込まれることは、金融市場も含めて広く歓迎されている。
◆レイチェル・リーブス財務相は、7月9日に就任後初の演説を実施し、経済成長に向けた計画を発表した。労働党は、安定、投資、改革の3つを柱にアプローチしていくという。リーブス財務相は、成長のためには難しい選択が必要であると発言しており、新たな支出計画と財政規律を両立させるために、既存の支出の一部が削減される可能性が高い。支出削減も含めて政策の全体像を評価するためには秋の予算を待つ必要がある。
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