サマリー
◆ユーロ圏の2023年4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.3%(前期比年率+1.1%)となり、市場予想(前期比+0.2%)を上回った。ユーロ圏の実質GDPは2022年10-12月期のマイナス成長の後、2023年1-3月期は横ばいとなり、昨年冬場から停滞が続いていたが、4-6月期に入って持ち直しが確認される形となった。
◆国別では、フランス(前期比+0.5%)、スペイン(同+0.4%)が好調な結果となったことに加え、アイルランドが前期の反動で同+3.3%と大幅な増加に転じた。ドイツはほぼ横ばい(同+0.0%)となり、イタリアは同▲0.3%と2四半期ぶりのマイナス成長となった。
◆現時点で需要項目別の内訳が判明しているフランス、スペインの結果を確認すると、フランスでは外需が主な押し上げ要因となる一方、スペインでは個人消費を中心とした内需の好調さが全体を押し上げた。
◆7-9月期以降のユーロ圏経済は、インフレ率鈍化に伴う消費者マインドの改善と実質所得の増加によって、個人消費がけん引役になると期待される。ただし、内外需の両面において企業、とりわけ鉱工業を取り巻く環境は厳しく、景気の拡大ペースは緩やかなものとなろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 対米通商交渉に一喜一憂
米英合意、米中間の関税引き下げは朗報、EUの交渉は楽観視できず
2025年05月23日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日