サマリー
◆2023年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は二次速報段階のプラス成長から下方修正され、前期比▲0.1%となった。2四半期連続のマイナス成長となり、ユーロ圏経済はごく浅いながらもテクニカルリセッション入りが確認された。しかし、4-6月期には緩やかな景気拡大に復すると見込む。
◆足元の経済統計を確認すると、企業部門、とりわけ製造業で低迷が続いている。製造業については供給制約の解消という好材料がありつつ、内外需双方の減速により弱い動きが続くとみられる。
◆他方、家計部門については、最大の懸案事項であった高インフレが、エネルギー価格の下落を主因に着実に改善へと向かっている。また、労働市場は引き続きひっ迫した状態にあり、雇用・所得環境の改善が、先行きの個人消費の増加をサポートする公算が大きい。
◆家計にとっての好材料である賃金の上昇は、インフレ抑制を目指すECBにとっては悩みの種となりつつある。個人消費、サービス業中心の景気拡大が続くことで、賃金、およびコアインフレ率の高止まりが続き、結果として、高い政策金利が長期間維持されるリスクについては意識しておく必要があろう。
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