サマリー
◆2023年1-3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比年率+0.3%のプラス成長へと転じ、かろうじてテクニカルリセッションを免れた。これまでユーロ圏経済を悩ませてきた高いインフレ率は、エネルギー価格の低下を主因に鈍化しており、ユーロ圏経済に対する過度な悲観は後退しつつある。
◆インフレ率の鈍化に伴い、減少が続いてきた家計の実質賃金は下げ止まるとみられ、消費者マインドも改善基調が続くと見込まれる。消費者マインドの水準は依然として過去の景気後退期並みの低水準にあり、個人消費の力強い回復は見込み難いが、緩やかに増加し景気を下支えすることが期待される。
◆ECBは5月の理事会で、7会合連続の利上げを決定しつつ、利上げ幅を縮小した。ただし、先行きも利上げを続けることを示唆しており、ECBにとっては高すぎるインフレ率の抑制がなおも政策の最優先事項である。米国のFRBが利上げの停止へと向かう中、為替の変動などを通じてECBの利上げはこれまで以上に強い引き締め効果を持つ可能性があり、利上げが実体経済に及ぼす影響について引き続き注意が必要だろう。
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