サマリー
◆ユーロ圏経済は4-6月期に7四半期ぶりの前期比プラス成長となったが、その後も企業と消費者の景況感改善が継続しており、7-9月期もプラス成長となったと推測される。ただ、7月と8月の輸出、鉱工業生産、小売売上高の持ち直しは遅々としており、年後半の景気回復ペースはかなり緩やかなものとなろう。
◆8月のユーロ圏の鉱工業生産の内訳で自動車部門の生産回復が目立つ。自動車販売は、過去2年は米国とアジアの需要が強い一方、欧州内の需要減退が目立っていたが、欧州の自動車需要の落ち込みに歯止めがかかってきた。ドイツ自動車産業連盟は9月の生産と輸出が前年比二桁の伸びとなったと発表した。裾野が広い産業だけに、今後のユーロ圏の景気回復の牽引役となることが期待される。
◆英国経済は個人消費が牽引役となって、7-9月期に3四半期連続となるプラス成長を達成したと推測される。同期の小売売上高は前期比+1.5%と2008年1-3月期以来の高い伸びを記録した。住宅市況の改善を背景に住宅建設受注が持ち直してきており、投資回復が期待される。一方、住宅価格上昇によるインフレ懸念がくすぶっており、今後の物価動向には注意が必要であう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日