サマリー
◆ECB(欧州中央銀行)は市場予想に反して11月7日の金融政策理事会で利下げを決めた。主要オペ金利は0.25%引き下げ、過去最低の0.25%となる。また、EONIA(翌日物市場金利)の上限である限界貸出金利も0.25%引き下げて0.75%とした。一方、下限金利の中央銀行預金金利は0%で据え置き、マイナス金利への移行は見送られた。同時に、銀行への資金供給手段であるMRO(1週間)とLTRO(3か月)は、少なくとも2015年半ばまで「固定金利、無制限」で実施するとし、緩和的な金融政策の継続を約束した。
◆ECBは利下げに踏み切った理由に、低インフレの長期化が懸念されることを挙げている。10月の消費者物価(速報値)は前年比+0.7%と予想を下回った。ECBはデフレ懸念を否定したが、それを念頭に置いた利下げであったことは想像に難くない。金融政策ガイダンスは引き続き緩和バイアスである。ユーロ圏の景気回復がもたつく間に物価が一段と低下することを懸念したECBの利下げは、ユーロ高修正という経路でもデフレ対策を狙っていると考えられるが、これは日本の経験から学んだものであろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日