デフレ懸念に先手を打ったECB

0.25%の利下げ実施で過去最低の政策金利水準に

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2013年11月08日

サマリー

◆ECB(欧州中央銀行)は市場予想に反して11月7日の金融政策理事会で利下げを決めた。主要オペ金利は0.25%引き下げ、過去最低の0.25%となる。また、EONIA(翌日物市場金利)の上限である限界貸出金利も0.25%引き下げて0.75%とした。一方、下限金利の中央銀行預金金利は0%で据え置き、マイナス金利への移行は見送られた。同時に、銀行への資金供給手段であるMRO(1週間)とLTRO(3か月)は、少なくとも2015年半ばまで「固定金利、無制限」で実施するとし、緩和的な金融政策の継続を約束した。


◆ECBは利下げに踏み切った理由に、低インフレの長期化が懸念されることを挙げている。10月の消費者物価(速報値)は前年比+0.7%と予想を下回った。ECBはデフレ懸念を否定したが、それを念頭に置いた利下げであったことは想像に難くない。金融政策ガイダンスは引き続き緩和バイアスである。ユーロ圏の景気回復がもたつく間に物価が一段と低下することを懸念したECBの利下げは、ユーロ高修正という経路でもデフレ対策を狙っていると考えられるが、これは日本の経験から学んだものであろう。

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