EUの経済政策に軌道修正の動き

財政健全化だけでなく、雇用創出も経済成長も必要

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2013年05月30日

サマリー

◆財政健全化を最優先課題としてきたEUの経済政策が変化しつつある。雇用と成長にも配慮した経済政策へ修正を求める声は2011年頃から徐々に増え、2012年5月のフランス大統領選挙のあと、EUは成長と雇用にも配慮した経済政策の採択を決めた。しかし、その遂行が各国に任せられたこともあり、景気悪化を回避することはできなかった。


◆その後、EUは財政健全化に取り組んでいることを条件に、各国の財政健全化(財政赤字がGDP比3%以内)の目標達成時期を遅らせることを承認するようになり、この5月29日にはフランス、スペイン、オランダなどユーロ圏5か国が目標達成時期の先送りを欧州委員会から勧告された。


◆もっとも、財政健全化目標の達成時期延長は雇用や成長を促進するものではない。財政健全化実現のために経済成長も必要との認識が共有されつつある中、次は具体的な雇用創出や経済活性化策に知恵をしぼる必要がある。

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