サマリー
◆2013年2月24、25日に実施されたイタリア総選挙は、モンティ政権の緊縮財政路線への評価が問われたが、予想された以上に大接戦となった。世論調査でリードしていた中道左派は下院は僅差で第1勢力となり、規定により過半数の議席を獲得した。しかし、中道右派、および既成政党を批判する「五つ星運動」の躍進で、上院は議席の過半数を獲得できる勢力が形成されない見通しである。
◆イタリア上院は下院と同程度の権限を有し、政権誕生には下院だけでなく、上院の承認も必要となる。中道左派は政権獲得に強い意欲を示しているが、モンティ前首相率いる中道派を合わせても、上院の過半数には届かない。五つ星運動または中道右派と何らかの協力関係を結ぶのか、モンティ政権のような超党派政権が作られるのか、それとも再選挙となるのか、見通しは不透明である。
◆中道右派、五つ星運動の得票を合わせると、過半数が緊縮財政へ批判票を投じたことになる。この「民意」を政治と市場がどう受け止めるか、また緊縮財政を強要してきたユーロ圏諸国がどう受け止めるかも今後の注目点となろう。
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