サマリー
◆ユーロ圏の7-9月期のGDP成長率は前期比-0.1%で、4四半期連続のマイナス成長となった。鉱工業生産は7、8月は持ち直す動きをみせたが、9月に急落し、景況感悪化に追随した。各種景況感指数は10、11月も悪化が目立ち、景気低迷というトンネルからいつ抜け出せるのか、なかなか手がかりが得られない。ECB(欧州中央銀行)の「非伝統的な対策」は金融市場の懸念後退には効果を発揮したが、それが企業や家計のマインド改善にはつながっていない。頼みの綱である輸出も元気がないため、2013年の成長率予想を+0.4%から+0.1%に下方修正する(2012年予想は-0.4%で据え置き)。
◆英国の7-9月期のGDP成長率は前期比+1.0%と4四半期ぶりのプラス成長となった。ただし、営業日が1日多かったことと、オリンピック開催効果で押し上げられており、10-12月期はマイナス成長に逆戻りすると予想される。BOE(英中銀)は家計の購買力が徐々に回復してくることを期待しているが、その前提であるインフレ率低下は10月に反転してしまった。今後のインフレを予想する上で、原油価格動向に注意が必要である。なお、景気悪化の原因の一つとして緊縮財政が指摘されるが、保守党政権からはこれを修正しようとする動きはまだ出ておらず、BOEが国債購入や銀行の資金調達コスト引き下げ等で孤軍奮闘している。
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