欧州経済見通し 巡航速度への転換点

4-6月期は減速が見込まれる

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2011年06月20日

  • 山崎 加津子

サマリー

◆ユーロ圏の景気回復は外需から内需へ着実に波及し、2011年1-3月期まで7四半期連続で前期比プラス成長となった。4-6月期以降、政府消費の減退と輸出の伸び減速が予想されるため、景気回復ペースが鈍化すると見込まれる。ただし、これは景気の腰折れではなく、V字回復局面から巡航速度の局面に切り替わる際の一時的な減速と見込まれる。ECB(欧州中央銀行)は6月に2011年の景気とインフレの見通しを上方修正し、7月の利上げ実施を示唆した。年内2回の追加利上げで、年末の政策金利は1.75%と予想する。

◆英国の景気回復はユーロ圏に遅れをとっているが、その原因はやはり個人消費にあった。2011年1-3月期までの3四半期連続で個人消費は前期比マイナスと落ち込んでいる。所得が伸び悩んでいるところにインフレ率が前年比4%台で推移しているため、消費者の財布の紐はいっそう固くなっている。物価上昇はVAT(付加価値税)が一因であるため、来年初めに低下が見込まれる一方、現時点で利上げしても問題解決にはつながらない。金融政策が打つ手がないなか、財政再建に非常に重点をおいている保守・自民党の連立政権に方針転換を求める声が高まってきている。

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