サマリー
◆2026年のアジア新興国の内需は、中東危機やスーパーエルニーニョを契機としたインフレリスクが重石となって、弱含む可能性が高まっている。その一方で、成長のドライバーとして期待されているのが輸出である。特に、AI・データセンターブームがアジア新興国の追い風となっている。
◆ASEAN5(インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナム)とインドの輸出構造を見ると、インドネシアとインドを除く4カ国のAI・データセンター関連輸出が増加している。半導体製造の後工程に強いマレーシアとフィリピン、電子機器の中流に強いタイ、そして最終組立など下流に強いベトナムが、日本や韓国、中国等から部品を調達するほか、香港や台湾へ再輸出を行う等して、生産工程を補い合っている。ASEAN4カ国では、東アジア地域のサプライチェーン(SC)に組み込まれていることが、AI・データセンターブームの恩恵を受ける要件となっている。
◆インドは現在のところAI・データセンターブームの恩恵を享受できる生産基盤がぜい弱だ。近年は、携帯電話に特化した最終組立の工程を得意としているが、それ以外の成熟工程はまだない。モディ政権下におけるインドでは、ASEANのように東アジア地域のサプライチェーンに組み込まれることで、自国で足りない工程を補完するのではなく、国内でサプライチェーンを完結させる方向で国家政策が進んでいる。そのため、半導体・電子機器産業が同国の主力輸出セクターとして成長し、AI・データセンターブームの恩恵を十分に享受するまでには時間を要するだろう。
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