「中所得国の罠」回避のカギは?

~アジアの前例からベトナムへのインプリケーション~『大和総研調査季報』2026年春季号(Vol.62)掲載

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2026年04月24日

サマリー

近年、高成長を遂げるASEANであるが、2030年までに高所得国入りを果たす見込みであるマレーシアを除くと、一人あたりGNIの底上げに難しさを抱えている国が多い。本稿では、高所得国入りに成功した「韓国型」、成功しつつある「マレーシア型」、現状では失敗している「タイ型」の工業化の経緯を比較し、「中所得国の罠」に陥らないための要因について分析する。注目されるベトナムは、都市化の遅れで人口ボーナスを活用しきれなかったという点で「タイ型」、ミディアムテク産業を飛ばし、ハイテク産業の労働集約的な低技術工程が発展したという点で「マレーシア型」に近い。

現在のベトナムでは、ハイテク産業の労働集約的な低技術工程に競争力があるが、グローバル・バリュー・チェーンにおける付加価値での寄与度は小さい。中国に代わる存在ではなく、補完する存在にとどまる。「中所得国の罠」を回避するためには、マレーシアのように、ハイテク産業の工程内深化を遂げる必要がある。これには、戸籍制度への切り込みや、非国有企業の構造改革を要する。慣習や制度の改革によって可能となる、効率的な資源配分が「中所得国の罠」を回避する近道となるだろう。

大和総研調査季報 2026年春季号Vol.62

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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