サマリー
近年、高成長を遂げるASEANであるが、2030年までに高所得国入りを果たす見込みであるマレーシアを除くと、一人あたりGNIの底上げに難しさを抱えている国が多い。本稿では、高所得国入りに成功した「韓国型」、成功しつつある「マレーシア型」、現状では失敗している「タイ型」の工業化の経緯を比較し、「中所得国の罠」に陥らないための要因について分析する。注目されるベトナムは、都市化の遅れで人口ボーナスを活用しきれなかったという点で「タイ型」、ミディアムテク産業を飛ばし、ハイテク産業の労働集約的な低技術工程が発展したという点で「マレーシア型」に近い。
現在のベトナムでは、ハイテク産業の労働集約的な低技術工程に競争力があるが、グローバル・バリュー・チェーンにおける付加価値での寄与度は小さい。中国に代わる存在ではなく、補完する存在にとどまる。「中所得国の罠」を回避するためには、マレーシアのように、ハイテク産業の工程内深化を遂げる必要がある。これには、戸籍制度への切り込みや、非国有企業の構造改革を要する。慣習や制度の改革によって可能となる、効率的な資源配分が「中所得国の罠」を回避する近道となるだろう。

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