サマリー
◆中国政府は、7月1日から、乗用車輸入に対する関税率を25%から15%に引き下げる等の輸入車関税の引下げを実施すると発表した。他の新興国・地域(台湾、マレーシア、インドネシア、メキシコ)の過去の関税引下げの経験では、特に生産規模の大きい国では輸入拡大の効果よりも中期的には現地生産拡大効果が大きいことがいえる。
◆中国で輸入車関税が輸入先を限らずに引き下げられた後には、外資系自動車メーカーは、中国における現地生産をむしろ増加させようとする可能性が高い。近年の中国の自動車生産において欧州系、米系メーカー・ブランド車のシェアが拡大傾向なのに対し、日系メーカー・ブランド車のシェアは縮小傾向となっていることの影響は、関税引下げ後も残る可能性がある。
◆関税引下げ後の中国では、外資系自動車メーカーの現地生産が増加することにより、自動車の輸入がむしろ縮小し、輸出が拡大する可能性がある。欧州系、米系自動車メーカーが、中国を周辺国・地域に食い込むための輸出拠点化しようとすることに対抗するためにも、日系自動車メーカーとしては、中国におけるシェアを維持、拡大することが重要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
尹大統領の罷免決定、不動産問題が選挙のカギに
賃借人保護の不動産政策を支持する「共に民主党」の李在明氏が、大統領選挙で一歩リードか
2025年04月24日
-
トランプ関税のアジア新興国への影響と耐性は?
製品によって異なる影響。対外的な耐性は十分もインドネシアに注意
2025年04月16日
-
トランプ2.0、資源面でアジアに恩恵も
米国産LNGがエネルギー移行を促進・重要鉱物の代替供給地になるか
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日