中国の輸入車関税引下げの日系企業への影響

欧州系、米系の現地生産及び輸出の拡大への対応が重要

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2018年06月20日

  • 金子 実
  • 永井 寛之
  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆中国政府は、7月1日から、乗用車輸入に対する関税率を25%から15%に引き下げる等の輸入車関税の引下げを実施すると発表した。他の新興国・地域(台湾、マレーシア、インドネシア、メキシコ)の過去の関税引下げの経験では、特に生産規模の大きい国では輸入拡大の効果よりも中期的には現地生産拡大効果が大きいことがいえる。

◆中国で輸入車関税が輸入先を限らずに引き下げられた後には、外資系自動車メーカーは、中国における現地生産をむしろ増加させようとする可能性が高い。近年の中国の自動車生産において欧州系、米系メーカー・ブランド車のシェアが拡大傾向なのに対し、日系メーカー・ブランド車のシェアは縮小傾向となっていることの影響は、関税引下げ後も残る可能性がある。

◆関税引下げ後の中国では、外資系自動車メーカーの現地生産が増加することにより、自動車の輸入がむしろ縮小し、輸出が拡大する可能性がある。欧州系、米系自動車メーカーが、中国を周辺国・地域に食い込むための輸出拠点化しようとすることに対抗するためにも、日系自動車メーカーとしては、中国におけるシェアを維持、拡大することが重要である。

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