サマリー
◆人民元の独歩安が進む場合、中国製品に自国製品がシェアを奪われる形でASEAN経済も悪影響を受ける公算が大きい。特に、タイとベトナムは中国と輸出品目の類似度が相対的に高いため、こうした悪影響が表面化し易いとみられる。
◆輸出以外では、中国の生産拠点をASEAN諸国等に移転させるいわゆる「チャイナ・プラスワン」の動きがスローダウンする可能性もある。この場合、チャイナ・プラスワンの候補として高く評価されるベトナムが経済的なダメージを受け易い。
◆これらの点を勘案すると、今後人民元の独歩安がある程度進行した際、ASEAN主要国ではタイとベトナムを中心に為替当局が経済への悪影響を防ぐべく、自国通貨を安値に誘導するケースが考えられる。ただ、今度はタイ・ベトナムなどと輸出品目が類似する国々が自国通貨を安値に誘導する事態が発生し得る。こうした人民元を起点とする各国通貨の連鎖的な下落が起きうる可能性には十分に注意を払う必要があろう。
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