サマリー
◆中国国家統計局によると、2026年1月~6月の実質GDP成長率は4.7%(以下、変化率は前年比、前年同期比)であった。1月~3月は5.0%、4月~6月は4.3%であり、このまま景気減速が続けば、2026年の政府成長率目標である4.5%~5.0%の達成が危ぶまれることになろう。不動産不況からの脱却は少なくとも当面は困難であり、次善の策として、さらなる金融緩和や財政出動が発動される可能性がある。
◆ただし、中国の企業・家計の金利感応度は低く、かつ資金需要が低迷する中で、小幅な利下げが行われても景気刺激効果は極めて限定的だ。さらに、住宅価格の下落と金利先安観が続けば、住宅購入希望者は購入を先送りにする可能性が高くなる。不動産不況からの脱却には、最低でも利下げ打ち止め感が台頭し(できれば金利先高観が高まり)、住宅購入実需層が動き出すことが必要であろう。
◆より効果的なのは、特定分野の再貸出限度額の増額、預金準備率の引き下げ、財政出動となろう。再貸出は中国人民銀行から市中銀行への低利貸出である。科学技術イノベーションと技術改造のための資金需要は旺盛であり、さらなる再貸出限度額の増額は検討に値しよう。預金準備率引き下げによって銀行の貸出余力は増加するが、資金需要が低迷する中でその効果は限定的である。一方で、銀行がこの資金を国債や地方政府債などで運用することで、国債、地方政府債の消化余力が増すことは注目される。預金準備率の引き下げによって、さらなる財政出動の余地が拡大するということだ。内需テコ入れのために、今後、地方政府特別債券の増発などが実施される可能性があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米中貿易戦争、勝者は中国
伝家の宝刀・レアアース、輸出先の分散化、迂回輸出
2026年10月02日
-
中国政府が景気テコ入れ策を発表
再貸出限度額の増額、住宅ローンへの1%利子補給
2026年10月01日
-
中国経済見通し:不動産不況、脱却はまだ先
住宅完成後販売への移行は◎。一段と悪化する内需と堅調な外需
2026年09月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

