サマリー
◆中国国家統計局によると、2026年1月~3月の実質GDP成長率は前年同期比5.0%(以下、断りのない限り変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)となり、2025年10月~12月の4.5%から加速し、2025年年間と同じ成長率となった。大和総研は4.5%成長を想定していたが、予想外の堅調となった。
◆2026年1月~3月の小売売上は2.4%増となり、2025年の3.7%増から減速した。中でも自動車販売金額は9.1%減と、2025年の1.5%減からマイナス幅が拡大した。これまで一貫して免税とされてきた新エネルギー車(NEV)の車両購入税(通常税率は価格の10%)は、2026年は価格の5%の税率で徴収が始まり、昨年は好調であったNEVの販売台数が減少した。国家統計局によると、自動車販売金額を除く小売売上は3.6%増とされ、自動車販売の不振が全体を1.2%pt押し下げたことになる。こうした状況は当面続くことになろう。
◆2026年1月~3月の固定資産投資は1.7%増となり、2025年の3.8%減から増加に転じた。分野別に、製造業投資は4.1%増に上向き、電気・水道・ガスを含むインフラ投資は9.2%増となり、2025年の1.5%減から増加に転じた。不動産開発投資は11.2%減と2025年の17.2%減からマイナス幅が縮小している。ただし、不動産開発投資は2022年から毎年10%前後の減少が続いた上での2桁減であり、状況は極めて厳しい。
◆2026年1月~3月の輸出(以下、貿易は米ドル建て)は14.7%増、輸入は22.7%増となり、貿易黒字は2.3%減の2,647.5億ドルとなった。今後、中東情勢の緊迫がさらに長期化すれば、世界経済が減速し、中国からの輸出品に対する需要も減退する可能性が高くなる。一方、輸入は、原油や関連製品の価格高騰によって増加し、貿易黒字は縮小する可能性が高い。2026年の数少ない好材料とみられていた純輸出の寄与度が低下すれば、4.5%~5%という政府成長率目標の達成のハードルは一段と高くなろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:堅調スタートも持続性には疑問符
不動産不況、需要先食いのツケ、中東情勢緊迫化
2026年03月24日
-
中国:第15次5カ年計画を読み解く
成長率目標は設定されず。数値目標は安全保障の優先度上昇を示唆
2026年03月16日
-
中国:成長率目標引き下げも達成は困難か
さらに強化した積極的財政政策は有名無実化
2026年03月06日
最新のレポート・コラム
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
-
原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響
原油・天然ガス・石炭価格の10%上昇は物価を最大約0.3%押し上げ
2026年04月17日
-
令和8年金商法等改正法案 有価証券に関する不公正取引規制等の見直し
市場制度ワーキング・グループの提言がそのまま反映される
2026年04月17日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、円安・ドル高が止まらないのか?
中東情勢の混乱が続く中、円安と物価高・実質賃金低下の悪循環が継続するリスク
2026年04月16日
-
ホルムズ海峡封鎖で変わる世界地図—改めて問われる「成長投資」とは?
2026年04月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

