サマリー
◆2025年5月12日に発表された米国政府と中国政府の共同声明によると、①米国は4月2日に発表した中国からの全輸入に対する相互関税34%のうち、24%の上乗せ部分を90日間停止する(ベース関税の10%は維持)、②米国は4月9日に賦課した対中追加関税それぞれ50%、41%を撤廃する、とした。2月(10%)と3月(10%)に課された合計20%の「フェンタニル関税」は維持されており、米国の中国からの輸入に対する追加関税は当面30%になる。従来の累計145%追加関税から大幅な引き下げだ。
◆追加関税の大幅引き下げは、中国経済にとって朗報である。大和総研は、米国が中国からの全輸入に対して、累計145%の追加関税を賦課した場合、中国の実質GDPは2.91%押し下げられると試算したが、累計30%では1.10%の押し下げに限定されることになる。大和総研は2025年の実質GDP成長率を前年比3.9%(以下、変化率は前年比)と予想していたが、4.8%に上方修正をする。
◆米中の関税交渉は大幅な進展があったようにみえるが、不毛な高関税のかけあいが収束したにすぎず、交渉はこれから本格化する。中国は米国にとって最大の貿易赤字計上国であり、米国は中国からの迂回輸出の増加にも厳しい目を向けている。交渉は難航も想定され、愁眉を開くのは時期尚早だろう。
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