中国経済見通し:全人代後の中国経済の行方

「トランプ関税2.0」、不動産不況VS内需拡大

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2025年03月21日

サマリー

◆2025年の実質GDP成長率の政府目標は前年比5.0%(以下、変化率は前年比)前後に設定された。2023年以降、3年連続で同じ5.0%前後の目標となったが、達成のハードルは年々高まっている。「トランプ関税2.0」の悪影響について、米トランプ大統領は2025年2月4日に、中国からの輸入に対して10%の追加関税を、3月4日にさらに10%上乗せして合計で20%の追加関税を課した。大和総研は、10%の追加関税で中国の実質GDPは0.37%、20%の追加関税で0.73%押し下げられると試算した。

◆こうした中、中国は内需拡大に最重点を置かざるを得ない。財政政策について、2024年との比較で、2025年の増加分は、財政赤字の1.6兆元、地方政府特別債券の0.5兆元、超長期特別国債の0.3兆元、特別国債の0.5兆元(新規発行)の合計2.9兆元となり、GDP比2.0%分となる計算だ。ただし、特別国債は大手行の資本増強に充てられ、景気を直接刺激するものではないなど、真水部分は7割程度と目される。トランプリスクの増大如何によって、各種国債・地方債が期中に増額される可能性があろう。

◆大和総研は2025年の中国の実質GDP成長率を4.5%程度と想定し、政府目標の5.0%前後の達成は難しいと予想している。「トランプ関税2.0」の悪影響がより大きくなる可能性が高いこと、不動産不況からの脱却は容易ではないこと、などがその主因だ。

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