サマリー
◆中国の地方経済は厳しい状況に置かれている。各地方を東部、中部、西部、東北部にグループ分けして、実質成長率の推移を見ると、かつては成長率の「西高東低」などといわれたが、2020年と2022年の2度のコロナショックを経て、2023年から2024年にかけてその差は大幅に縮小している。主因のひとつは3年にわたる不動産不況の悪影響であると考えられる。地方政府の主要な財源である土地使用権売却収入が大きく減少し、経営難に陥る地方政府融資平台(中国版第3セクターの国有企業)が増加したことで、固定資産投資の投資余力が低下した。
◆こうした中でも3月5日に開幕する第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議では、2025年の政府成長率目標は2023年~2024年と同じ5.0%前後に設定される可能性が高い。「適度に緩和的な」金融政策と「さらに強化した」積極的財政政策の実施が内需拡大をサポートしよう。ただし、超長期特別国債の一部が利用される設備更新と家電・自動車の買い替え促進策は需要の先食いの面があるほか、インフラ投資などについては、既に投資効率の低下が叫ばれて久しい。利下げや各種特別国債を呼び水に銀行貸出が大きく増えれば、債務の膨張と金融リスクの増大が懸念されるようになる。財政政策への過度の依存は慎重になるべきであろう。
◆全人代の注目点の最後として、民営企業発展への具体的な政策が打ち出されるかにも注目したい。2025年2月17日には、習近平総書記が民営企業向けシンポジウムに出席し、重要演説を行った。アリババ、ファーウェイ、BYD、シャオミ、テンセント、さらにはDeepSeekの代表者などが参加した。民営企業をどう発展させるのか、中国経済はまさに正念場を迎えようとしている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
中国経済見通し:景気テコ入れ策の効果を総点検
家電・自動車買い替え促進策の効果が発現。住宅市場テコ入れ策は?
2024年11月22日
-
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日
-
中国:不動産不況、淘汰と救済なくして回復なし
金融市場では「質」(安全資産)への逃避が進む
2024年09月20日
-
中国経済見通し: 5%成長死守に向け内需を刺激
パワーアップした内需刺激策を発表。2025年は反動減に要注意
2024年08月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:消費拡大15次5カ年計画を読み解く
政府は低空飛行の継続を想定か。構造問題への処方箋は書かれず
2026年08月03日
-
中国:政治の季節と景気テコ入れ策の示唆
政治局会議開催。綱紀粛正強化による経済活動の一部委縮懸念
2026年07月31日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

