サマリー
◆2025年3月5日に、第14期全国人民代表大会(全人代。日本の国会に相当)第3回会議が開幕した。初日に李強首相が政府活動報告を行い、注目された2025年の政府成長率目標は前年比5.0%(以下、変化率は前年比)前後とされた。これは事前の予想通りであり、サプライズはない。また、2025年の重点活動任務の筆頭には、内需拡大が掲げられた。2024年はイノベーションが最重視されたが、トランプリスクが増大する中、2025年も5%成長を維持するには、内需拡大に期待するしかないのであろう。
◆全人代の「2024年度中央・地方予算の執行状況および2025年度中央・地方予算案についての報告」によると、①2025年予算案の財政赤字は5兆6,600億元、GDP比は4.0%前後と、2024年のそれぞれ4兆600億元、3.0%前後から拡大する、②インフラ投資などに活用される地方政府特別債券のネットの発行額は2024年の3.9兆元から2025年は4.4兆元に増額する、③強い国作りのためなどに使用される超長期特別国債は2024年の1.0兆元から2025年は1.3兆元に増額する、④大型国有商業銀行の資本増強のため、2025年は新規に特別国債を0.5兆元発行する、ことなどが発表された。
◆財政出動の規模は、事前に予想されていた金額よりかなり抑制的であった。内容を見ると、大手行の資本増強など金融リスクの低減と、設備更新や自動車・家電の買い替え促進による短期的な景気刺激を両立しようとしていることが分かる。ただし、補助金政策による設備更新や消費財の買い替え促進は需要先食いの面があり、2025年の補助金増額によって投資や消費が刺激されれば、2026年以降の反動減が懸念されることになる。総じていえば、即効性のある対策が目立ち、中長期的な視野に立った目玉政策に乏しい印象だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米中首脳会談、余裕の中国と成果乏しい米国
トゥキディデスの罠、台湾問題、通商問題、イラン情勢
2026年05月18日
-
中国:自動車産業の内巻、国外では強みに
新エネルギー車(NEV)の急発展と自動車輸出の急増
2026年05月18日
-
中国:飲食業景気指数が過去最低に
内巻(破滅的な価格競争)の悪影響は中小型店に集中
2026年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

