サマリー
◆2022年12月15日~16日に、2023年の経済政策運営の重点を決定する中央経済工作会議が開催された。同会議では、「成長の安定、雇用の安定、物価の安定」の3つの安定をキーワードに、5つの経済政策運営の重点を掲げた。5つの重点とは、①国内需要の拡大に注力、②現代的な産業システムの建設加速、③「2つのいささかも揺るがない」の確実な実施、④さらなる外資誘致・外資利用、⑤重大な経済・金融リスクの効果的な防止・解消、である。
◆2023年の経済政策運営の重点の筆頭に掲げられたのは「国内需要の拡大」である。2022年の中国経済は、「ゼロコロナ」政策への固執と不動産不況が重なり、2%台の実質成長にとどまると予想される。2023年も低成長が続けば、一般市民から党・政府への批判が一段と高まりかねない。こうした事態は何としても避けたいところであろう。景気回復の原動力と期待されるのが、「ゼロコロナ」政策から実質的な「ウィズコロナ」政策への転換による、過去3年分のリベンジ消費となろう。
◆「経済・金融リスクの防止・解消」では、不動産問題への取り組み強化が指示されている。足元で、工事中断問題の改善のための「保交楼」(物件を契約通りの数量、品質、納期で購入者に引き渡す)が推進されており、これによって、住宅ローンの支払い拒否問題(銀行の不良債権増大)の改善が期待される。ただし、「保交楼」にしても、今回の中央経済工作会議にしても、新規需要を刺激するような政策は打ち出されていないことに注意が必要である。2023年に住宅市場が大きく回復する展望は描きにくいのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:堅調スタートも持続性には疑問符
不動産不況、需要先食いのツケ、中東情勢緊迫化
2026年03月24日
-
中国:第15次5カ年計画を読み解く
成長率目標は設定されず。数値目標は安全保障の優先度上昇を示唆
2026年03月16日
-
中国:成長率目標引き下げも達成は困難か
さらに強化した積極的財政政策は有名無実化
2026年03月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

