中国:不動産問題が経済・金融リスクに

経済工作会議、2023年は成長・雇用・物価の3つの安定を重視

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2022年12月19日

サマリー

◆2022年12月15日~16日に、2023年の経済政策運営の重点を決定する中央経済工作会議が開催された。同会議では、「成長の安定、雇用の安定、物価の安定」の3つの安定をキーワードに、5つの経済政策運営の重点を掲げた。5つの重点とは、①国内需要の拡大に注力、②現代的な産業システムの建設加速、③「2つのいささかも揺るがない」の確実な実施、④さらなる外資誘致・外資利用、⑤重大な経済・金融リスクの効果的な防止・解消、である。

◆2023年の経済政策運営の重点の筆頭に掲げられたのは「国内需要の拡大」である。2022年の中国経済は、「ゼロコロナ」政策への固執と不動産不況が重なり、2%台の実質成長にとどまると予想される。2023年も低成長が続けば、一般市民から党・政府への批判が一段と高まりかねない。こうした事態は何としても避けたいところであろう。景気回復の原動力と期待されるのが、「ゼロコロナ」政策から実質的な「ウィズコロナ」政策への転換による、過去3年分のリベンジ消費となろう。

◆「経済・金融リスクの防止・解消」では、不動産問題への取り組み強化が指示されている。足元で、工事中断問題の改善のための「保交楼」(物件を契約通りの数量、品質、納期で購入者に引き渡す)が推進されており、これによって、住宅ローンの支払い拒否問題(銀行の不良債権増大)の改善が期待される。ただし、「保交楼」にしても、今回の中央経済工作会議にしても、新規需要を刺激するような政策は打ち出されていないことに注意が必要である。2023年に住宅市場が大きく回復する展望は描きにくいのではないか。

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