中国:景気テコ入れ、本気モードは来春か

まだ続く政治の季節。新首相に花を持たせる?

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2022年10月26日

サマリー

◆中国国家統計局によると、2022年7月~9月の実質GDP成長率は前年同期比3.9%(以下、明記のない限り変化率は前年比、前年同期比)となり、上海市ロックダウンなどにより景気が失速した4月~6月の0.4%から回復した。

◆習近平政権の3期目は最高指導部の政治局常務委員を全て腹心で固めた。2023年3月の国家機構人事において李克強首相の退任は確定しており、序列2位となった李強氏が後任になる可能性が高い。李強氏は、上海市のトップ(書記)であり、同市では今春に新型コロナウイルス感染症の感染爆発が発生し、1カ月半にわたる厳格なロックダウンの実施を余儀なくされた。李強氏には批判的な評価も多いが、こうした声を抑え込んで習近平氏が李強氏を引き上げたことになる。直ぐにでもゼロコロナ政策を緩和して、景気のテコ入れを図り、引退する李克強首相に花道を用意するのか。それとも、自らが引き上げた人物が新首相に就任した後に景気が本格的に回復するのが好ましいと考えるのか。本来なら早いに越したことはない政治判断が、全く合理的ではない理由で後ずれするリスクがある。

◆大和総研は中国経済見通しを下方修正する。2022年の実質GDP成長率予想を従来の4.0%から3.3%へ、2023年は5.6%から4.5%に引き下げる。

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