中国経済見通しに代えて

習近平氏「一強体制」の弊害と党大会「報告」経済分野のポイント

RSS

2022年10月20日

サマリー

◆2022年10月17日16時(中国時間)に、中国国家統計局のサイトの主要経済統計情報発表スケジュールが更新され、10月18日10時(同)に発表予定であった7月~9月のGDP統計など主要経済統計の発表が延期された。なぜこのようなことが起きたのであろうか。筆者は習近平氏「一強体制」の弊害が最大の要因であると考えている。習近平氏に見いだされたい、重用してもらいたい人たちは、習氏からのプラスの評価獲得のために仕事をし、忖度・忠誠合戦が繰り広げられることになる。もちろん、習近平氏の指示があった可能性も否定できないが、これはこれでもっと始末が悪い。鶴の一声で道理や合理性が吹き飛ぶことを意味するからである。

◆習近平総書記による党大会「報告」の経済に関わる部分を見ると、質の高い発展やイノベーション重視など、従来路線の踏襲が多い。問題は基本方針・政策を実現する際に矛盾や軋轢が生じやすいことである。習近平氏の「一強体制」の下で、こうした弊害がますます深刻化しないかが懸念される。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。