20回党大会、習・李氏は対立ではなく補完?

中台統一、共産党統治、共同富裕、強軍、イノベーション、改革開放

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2022年10月17日

サマリー

◆2022年10月16日に、中国共産党第20回党大会が開幕し、習近平総書記が報告を行った。今後5年の目標・任務については、経済の質の高い発展、改革・開放、法治など8項目が掲げられた。経済の質の高い発展では、その原動力が「科学技術」(イノベーション)であることが示された。科学技術の「自立自強」が強調されているが、これは米中ハイテク・軍事覇権争いが念頭に置かれていると思われる。なお、今後5年の目標・任務に「共同富裕」への言及はないが、10年、20年を時間軸とする「中国式現代化」に記述があることからすると、「共同富裕」は短期的に成果が求められるものではなく、より長期的な政策として位置付けられている可能性が高い。

◆8月16日、17日には習近平総書記が遼寧省、李克強首相が広東省を訪問した。習氏の「共同富裕」vs李氏の「改革・開放」という対立の構図とみる向きもあったが、恐らくそうではない。このタイミングは北戴河会議(党長老と現役指導者が集まる非公式会議で、党幹部人事を含む重要政策が話し合われるとされる)が終了した直後とみられ、何らかの政治的意図の下で実施された可能性が高い。つまり、改革・開放は引き続き重要政策であるとのメッセージが込められていたのであり、今回の報告でも今後5年の目標・任務の2番目に改革・開放が取り上げられたことがこれを物語っている。

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