サマリー
◆5年に1度の党大会開催年は、1978年の改革・開放政策導入後の8回のうち6回で前年の成長率を上回った。特別なことがない限り、2022年は前年の成長率を上回る可能性が高い。今回の比較対象は、2020年の前年比2.2%、2021年の同8.1%の平均の5.1%である。大和総研は過去2年分のリベンジ消費を牽引役に、2022年の実質GDP成長率を同5.4%と予想している。
◆こうしたシナリオが画餅に帰す可能性を高めるのが不動産市場の低迷と「ゼロコロナ」政策の行方である。特に、懸念されるのが、ゼロコロナへの固執ではないだろうか。かつて2003年の新型肺炎(SARS)を「終息」させた成功体験を持つ中国が、党大会で共産党統治の優位性の証左としてゼロコロナをアピールしたい気持ちは分からなくはない。しかし、外部との接触を完全に断つのは不可能であり、いずれ「ウィズコロナ」への道を模索する必要性が高まろう。中国政府によると、2022年1月14日時点でワクチンの2回接種が終了したのは、人口の86.6%に達し、3回目の接種も始まっている。北京冬季五輪を終え、3月の全人代が終了した後に警戒ムードは緩むのだろうか。それとも10月か11月と予想される党大会まで厳戒態勢は続くのだろうか。ゼロコロナへの固執如何によって、景気下振れ懸念が高まることに留意したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日