サマリー
◆中国国家統計局によると、2020年の中国の実質GDP成長率は前年比2.3%(以下、変化率は前年比)と、2019年の6.0%から大きく減速した。中国共産党・政府は2020年までの10年間でGDPを実質で2倍にする長期目標を掲げ、2020年は5.7%強の成長が必要であったが、未達成に終わった。当然、これはコロナショックによるものであり、むしろ通年でプラス成長を維持したことを高く評価すべきであろう。
◆2021年の中国経済は8.0%程度の実質成長を遂げるとの見通しを変更する必要はあるまい。新型コロナウイルス感染症の一日の感染者数の増加(といっても全国で100人超であるが)を受けた一部都市のロックダウンや春節の自粛ムードの高まりの影響は限定的で、景気の腰折れ懸念などは杞憂であろう。2021年1月~3月は前年が大幅なマイナス成長であった反動で高成長を遂げ、その後は反動が一巡すること、危機対応からの出口戦略が本格化すること、パンデミック収束が部分的には中国経済の押し下げ要因となること、などから年末に向けては巡航速度とされる6%程度をやや下回る水準に減速すると想定している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日