サマリー
◆2020年1月~2月の中国経済は壊滅的な悪化を余儀なくされたが、3月初旬には新型コロナウイルス感染症の抑え込みにほぼ成功した。経済活動は正常化に向かい、実質GDP成長率は1月~3月の前年同期比▲6.8%(以下、変化率は前年同期比、前年比)から4月~6月は3.2%に急回復を遂げ、7月~9月は4.9%となった。牽引役は不動産開発やインフラ向けを中心とする投資であり、消費もマイナス幅が縮小している。10月~12月の実質GDP成長率は、コロナショック以前の巡航速度とされる6.0%程度に回復しよう。主要国が軒並み大幅なマイナス成長を余儀なくされる中で、2020年の中国経済は2.2%程度の実質成長が見込まれる。
◆2021年の中国経済の注目点は、①投資から消費主導の景気拡大への転換、②金融緩和と積極的な財政政策からの出口戦略、③そしてパンデミックの収束が中国経済に与える影響である。2021年1月~3月は前年が大幅なマイナス成長であった反動で高成長を遂げ、その後は反動が一巡すること、出口戦略が本格的に始まること、パンデミック収束により輸出のコロナ関連特需が剥落し、過剰生産能力の削減圧力が高まること、などから年末に向けては巡航速度とされる6%程度をやや下回る水準になると想定している。2021年1月~3月の実質GDP成長率は16.0%、以降、四半期毎に7.0%、6.0%、5.0%程度となり、2021年年間では8.0%程度となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日