サマリー
◆2019年12月10日~12日に中央経済工作会議が開催された。現地では6%成長を死守すべきか否かで大論争が巻き起こっていた。死守派は短期的な成長率の底打ち・回復を重視する一方で、6%割れ容認派は中長期的な構造改革と質の高い発展を重視する。中央経済工作会議では安定(ある程度の成長)を第一に、それが保たれている限り、構造改革を推進するとの方針が示された。中国にとって、2020年は第13次5ヵ年計画の最終年であり、中国共産党・政府は同年を「小康(ややゆとりのある)社会の全面的完成」を達成する年と位置付けている。こうした要の年であるからこそ、いつも以上に「安定」が最優先されるのであろう。
◆中央経済工作会議が2020年の重点政策の二番目に掲げた三大堅塁攻略戦は、リスクの度合いがより高い、あるいは改善が困難な、金融、貧困、環境の順に言及されるのが常であるが、今回の中央経済工作会議では金融リスクが最後に登場した。しかし、金融リスクの防止・解消が進展しているというわけでは決してない。今後、国有企業のさらなる債務急増を伴う政策が実施される場合は、金融リスクを一段と増大させるものとして警戒する必要があろう。
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