サマリー
◆2013年1月16日に、中小企業向け店頭市場である「全国中小企業株式譲渡システム」が正式にスタートした。中小企業の最大の問題点は、資金調達難とコーポレート・ガバナンスの欠如である。「全国中小企業株式譲渡システム」では、①2013年1月1日の「非上場公衆会社監督管理方法」の発効により、従来は株主数が200人以下に制限されていたのが、200人超となることが認められたこと、②システムの正式スタートにより、従来の北京市中関村所在のハイテク企業向け店頭市場との位置付けから、ハイテク産業に限定されない全国の中小企業向け店頭市場へと発展する素地が形成されたこと、③本人名義の前営業日終値の証券資産が300万元(約4,107万円)以上といった厳しいハードルはあるものの、個人投資家にも売買が解禁された、など、資金調達機能や投資家の裾野の広がりに寄与する措置も打ち出されている。同システムでは、創業者などの保有株の市場での売却や第三者割当増資による資金調達が認められるほか、登録後は銀行の信用ランクが向上し、銀行貸出が増えるなどのメリットが期待される。
◆「全国中小企業株式譲渡システム」への登録の事前準備として、スポンサー証券会社を中心に公認会計士、弁護士、産業アナリストなどが、登録希望企業のコーポレート・ガバナンスの確立に関与する点もメリットの一つである。「全国中小企業株式譲渡システム」の発展は、活力ある中小企業の育成に不可欠であり、今後の動向に注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日