中国の株式市場制度改革の新たな動きと5年後を見据えた制度改革の行方

『大和総研調査季報』 2012年秋季号(Vol.8)掲載

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2012年12月03日

サマリー

2011年10月に、朱鎔基・前首相を支えた「四天王」の一人で、強い改革志向を持つとされる郭樹清氏が中国証券監督管理委員会(CSRC)主席に就任した。その後、CSRCは株式発行制度改革、現金配当政策の強化、QFIIの認可額上限の引き上げと資格認定要件の緩和、上場廃止基準の強化など、矢継ぎ早の制度改革を実施している。これらの諸改革は、株式市場の健全化に向けた具体的な措置として、肯定的な評価が可能である。しかし、「上に政策あれば、下に対策あり」といわれる中国では、政策に抜け道がないか判明するには、1年程度の時間が必要であり、その後に評価が確定しよう。投資家から、投資市場としての信認を得るには地道な改革の継続と、ある程度の期間が必要であろう。

5年後を見据えた株式市場制度改革としては、情報開示の透明性向上など情報の非対称性に起因する市場の歪み是正と、多層的な株式市場の構築が不可欠である。資本市場改革というより広い範囲では、社債市場の発展が極めて重要な意味を持とう。

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