中国:リスク要因としての預金の大幅減少

2012年1月の金融統計、貸出の平準化は肯定的な評価

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2012年02月14日

サマリー

◆2012年1月の貸出増加額は前年同月より2,882億元少ない7,381億元にとどまった。1月の急増を回避し、年間を通じた貸出の平準化を促進するとの観点からは、肯定的な評価が可能である。

◆一方で、1月の預金額は8,000億元もの純減となった。これが、貸出平準化に伴う預金の取り崩しであれば、2月以降は正常化するはずである。懸念されるのは、銀行預金から銀行システム外の民間金融への資金シフトが一段と進んだ可能性である。貸出は預金を原資に行われるので、預金の減少が続けば、銀行の貸出余力も低下することになる。それを防ぐには、(1)物価低下による定期預金の魅力向上と、違法な民間金融の取り締まり強化、(2)2011年10月以降の中小企業・零細企業向けの貸出増加策の徹底と強化、といった政策が実施される必要がある。景気の底打ちと回復の行方を占う上でも、2月以降の金融統計に注目したい。

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