2026年07月10日
サマリー
◆2025年度の個人向け社債発行額は約2.7兆円と、過去最高を更新した。機関投資家向けを含めた社債市場全体から見るとまだ相対的に小さい市場ではあるものの、緩やかに市場が拡大しつつあるといえる。
◆発行額が増加した背景として、供給側(発行体側)の要因としては、金利上昇局面において資金調達を急ぐ必要がある中、調達先の拡大を図る事例が多かった可能性が挙げられる。他方、需要側(投資家側)の要因としては、インフレ率の高止まりが続き、現預金の目減りが意識される中、預金よりも高い利回りを得ることができ、株式よりもリスクの低い資産として、社債が注目された可能性が指摘できる。個人向け社債の発行を促す要因が需給両面で見られたといえる。
◆今後の注目点は、発行体の裾野が広がるか否かだろう。一度個人向け社債の発行経験を得た発行体が、徐々に個人向け社債を本格的な資金調達手段として活用していく、という流れがあるようだ。
◆個人向け社債市場の動向については、「社債市場全体の規模が拡大するか否か」と「社債市場全体に占める個人向け社債市場の存在感が高まるか否か」という2点が注目点となる。
◆前者については、2025年10月より、経済産業省が事務局を務める研究会「企業金融の高度化に向けた社債市場の在り方に関する研究会」が開催され、2026年4月には中間報告書が公表されるなど、直近でも市場活性化に向けた様々な議論が進んでいる。後者については、「個人向けに発行するメリット」が「個人向けに発行するデメリット」を上回るかが判断の分かれ目となる。
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