「2つの主体」が支える個人向け社債市場

発行額は過去最高を記録し、発行本数も約20年ぶりの高水準に

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サマリー

◆2022年度は個人向け社債の発行額が過去最高となった。もともと個人向け社債市場では、一部の企業による多額の発行により全体の発行額が押し上げられる傾向がある。2022年度もこの傾向が強く見られた一方、発行本数や発行企業数も約20年ぶりの高水準となり、1本あたりの発行額が100億円未満の社債が増加した点も特徴的であった。

◆多額の発行を行う一部の企業が個人向け社債市場における「第1の主体」といえる。2022年度においては、資金調達手段の多様化を模索した企業によって個人向け社債が改めて見直された可能性があるほか、預金金利が低水準にとどまる中、個人投資家からの需要が見込める、という判断がこのような企業による起債の増加につながった可能性もある。

◆他方で、ESG債やデジタル技術を活用した社債など、特定のコンセプトを持った社債の発行が増加している。1本あたりの発行額は小さいことが多いものの、このような社債を発行する企業は、個人向け社債市場を構成する「第2の主体」とでも呼ぶべき重要な存在となっている。会社方針に共感する個人投資家とのつながりを強固にする、といった目的のために「社債」という手段が選ばれた側面もあるようだ。

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