2025年09月22日
サマリー
◆日本銀行(日銀)は、2025年9月19日の金融政策決定会合で、日銀が保有するETF・J-REITの市場売却を行うことを全員一致で決定した。日銀が保有するETF・J-REITの残高が、それぞれ簿価で37兆1,861億円、6,550億円であることを考えると、売却完了までに100年以上要すると見込まれ、日銀が非常にゆっくりしたペースでの売却を企図していることがわかる。
◆「金融機関から買入れた株式」の残高は、ピーク時(2004年9月)でも簿価で約2兆円と、現在のETFの残高と比較すると規模が小さく、また、金融危機時、株価が非常に低いタイミングで買い入れたため、損失が生じにくく、売却は相対的に容易だったと思われる。
◆計画通りに進めた場合でも売却完了までに100年以上の時間が必要となることに加えて、金融市場が不安定化した場合には、日銀は売却ペースを鈍化させると思われるため、さらに期間は長期化するだろう。それだけの時間がかかると、資産価値の変化が起こることは避けられない。たとえ日銀の収益が悪化し、赤字または万が一債務超過に陥ったとしても、金融政策の運営力に支障は生じないと思われるが、国庫納付金の減少などを通じて国民負担が増加する可能性は否定できない。ETFの価格変化に対して事前に引当金を積み、特別損失の計上額を抑えるのが望ましいのではないか。市場への影響を最小限に抑えつつ、かつ損失を極力回避しながら、これほどの規模の資産を売却することは容易ではないと思われる。超長期戦に挑むにあたって、万全な備えが求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」(VCRHs)の見直し
ベンチャーキャピタルのガバナンス強化と投資魅力向上を図る
2026年07月13日
-
2025年度の個人向け社債市場の動向
発行額は過去最高に。今後は発行体の裾野が広がるかが注目点
2026年07月10日
-
円買い・ドル売り為替介入の限界
為替レートの安定には機動的な利上げが必要
2026年07月03日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日


