2016年09月01日
サマリー
FinTechから金融イノベーションは創出されているのか、将来的に創出されるのか。本稿では、金融イノベーションは「プロダクト、プロセス、ソーシャル、セキュリティの4つのイノベーションを総合して、相乗効果を生むことによって創出される」と定義した。
この定義に当てはめると、金融業における多くのFinTechの適用例はプロセス・イノベーションにとどまる。ただし、保険業では、AI×ビッグデータ×IoTによる社会およびサービス産業の変革によって、従来の保険リスク自体が根本的に変化し、ソーシャル・イノベーションまで進展する可能性がある。また、ブロックチェーンを活用したスマートコントラクトが、金融業界のみならず他の業界にもプロダクト・イノベーションを生み出す可能性がある。なお、いずれの業種・分野においても、セキュリティ・イノベーションは大きな課題として認識される。
金融イノベーションを実現するのは金融機関とは限らない。金融機関は、5~10年後を見据えて、コア顧客の選定、効率化、経営資源の再配分などを迅速に行うとともに、競争を勝ち抜くための覚悟が求められていると言えよう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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