「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?

両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)では、「インパクトを考慮した投資」に関する調査研究を開始したのではないか、という報道もあり、足許ではGPIFのインパクト投資に対する期待が高まっている。

◆GPIFは、中期計画やサステナビリティ投資方針などで、「インパクトを考慮した投資」について、検討を行うことを明らかにしているものの、報道とは異なり、「インパクト投資」の検討を行うとは一切記していない。

◆それは、金融庁の検討会が取りまとめた「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」の定義とGPIFや所管官庁である厚生労働省が考える「インパクトを考慮した投資」とでは、「目的」と「企図」に関して、明確な違いがあるからである。

◆ただし、「インパクトを考慮した投資」は社会・環境的効果(インパクト)を生まないわけでも、その効果が必ずしも「インパクト投資」に劣るものでもない。どういう定義に基づくかよりも、実際にどれだけの経済的リターンとインパクトを生み出すのかの方がはるかに重要であることを忘れてはいけない。

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