2024年11月06日
サマリー
◆投資を通じて金銭的リターンの獲得と、環境や社会にポジティブな影響(インパクト)をもたらすことの双方を目的とする「インパクト投資」に取り組む投資家が、世界的に増えている。インパクト投資のガイドライン等も複数策定されており、日本では金融庁が「インパクト投資(ファイナンス)に関する基本的指針」を公表している。
◆インパクト投資の一層の拡大に向け、上場株式に対するインパクト投資の促進や、年金基金等の取り組みを阻害する要因の解消などが進められている。日本では内閣官房の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」において、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)・共済組合連合会等の公的年金に関して「中長期的な投資収益の向上につながるとの観点から、インパクトを含む非財務的要素を考慮すること」は他事考慮に当たらないことを明確化した。
◆世界的なインパクト投資の推進団体であるGIIN(Global Impact Investing Network)の最新の調査結果によれば、インパクト投資に取り組む投資家が過去5年間、業界発展において進捗がみられた分野として多く挙げたのは、①インパクトマネジメントと財務マネジメントに関する意思決定を統合的に行う能力、②市場における活動やトレンド、実践に関する調査、③関連するスキルを持つ専門家、などであった。一方、課題がみられた分野は①インパクト測定フレームワーク間の断片化、②インパクトに関する結果の同業他社比較、③投資先から受け取ったインパクトデータの検証、などであった。
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